導入事例

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データに基づく仮説検証が 1ヶ月→15分に!定量的に人事課題の優先順位づけを経営・現場巻き込み実現

2021-07-15
データに基づく仮説検証が 1ヶ月→15分に!定量的に人事課題の優先順位づけを経営・現場巻き込み実現

INTERVIEWEE

水本 敦則様(株式会社ミクシィ モンスト事業本部 HRBP)

杉村 元規様(株式会社ミクシィ 人事本部 人事企画部マネージャー)

※所属部署は取材当時のものになります

HEADLINE

株式会社ミクシィでは、多様な事業を抱える組織の機動性を高めるために、人事・経営・現場が一枚岩となって「データに基づく意識的な人事戦略・方針の策定と実行」ができるよう目指しています。その実現に向けて、パナリットをなぜ選んだのか、導入によってどのような成果がこれまでに得られたのか、人事側の視点と、人事と現場を橋渡しするHRBP側の視点の双方からお話を伺いました。
(以下、敬称略)

CONTENTS

御二方が感じられているミクシィの組織・人事課題について教えてください

杉村:「今後の人事戦略・方針について、マネジメント層をいかに一枚岩にするか」です。ビジネスが強いゆえに各事業部のマネジメント層(本部長クラス以上)の思いもそれぞれに強く、全社で人事戦略・方針を作っていくのが難しいと感じています。また人事本部の中でさえ、人事データを一元的に管理・可視化できていなかったため、データに裏付けされた事業部の戦略に組織の観点を組み入れることは、これまではほぼ不可能でした。

水本:モンスト事業本部もこれまでは状態目標・定性目標で乗り越えられましたが、今後はKPI設定も含めて数字に基づく状況把握やアクションを強めることで、PDCAの正確性を高める必要があります。

そうした課題感を、データの力でどのように変えていきたいですか?

杉村:今まではモンストの爆発的な成長が組織を牽引してきたこともあって、人事戦略・方針は定性目標だけで語られることが多かったですが、今後の事業環境を踏まえるとしっかり定量目標を入れていく必要があると考えています。例えば、優秀な幹部候補を育てるためには様々な部署を経験させるべきだと考えていますが、定量的な裏付けができていませんでした。一方で「人事からは見えない従業員の状況」は絶対に存在するので、他に重要なインサイトを見落としている可能性もあります。そこで人材情報やデータを全社的に共有しあえる状態をまずは目指すことで、人事・経営・現場の意識統一を図っていきたいと考えています。

パナリットの導入の決め手は何でしたか?

水本:HRのデータを現場でも簡単にアクセスできるようにし、可視化できるようにしたい。この2点が決め手でした。パナリットを知る前は、覚悟を決めてBIツールを導入しなければならないと思っていましたが、データベースの構築や、SQLのアップスキルなど、準備期間だけでも6ヶ月はかかる見通しでした。パナリットでは約1ヶ月で人事データへのアクセス・可視化まで実現できました。

既存の人事ツールでは、データへのアクセスや可視化は難しかったのでしょうか?

杉村:全体観を掴むにはパナリットの方が優れていると思います。その後で、従業員個人の情報を詳しく見る必要がある場合には、タレントマネジメントシステムを見にいきます。また弊社では組織変更を毎月行っていますが、既存のツールではその度にデータをツール指定のフォーマットに加工して更新する必要があるなど、全体観を把握するにも運用の手間が相当に発生していました。
(脚注:パナリットでは接続時に、お客様側でデータを加工する必要はありません)

パナリットの導入によってどんな効果がありましたか?

水本:事業責任者から例えば「最近新卒の若手が少なくない?」と問われた際も、裏付けとなるデータをパナリットで確認し、スクリーンショットとともに速攻で返答できました。所要時間は15分程度ですが、パナリット導入前であれば 1ヶ月以上かかっていました。

なぜ従来はデータの収集・可視化に1ヶ月以上もかかっていたのでしょうか?

水本:まずJIRA(課題管理ツール)でチケットを切って、人事本部/労務にデータの抽出依頼を申請していました。労務側も間違ったデータを渡さないよう「こういうデータであってますか?」と意図や定義の確認を行うのですが、このやり取りが5往復ぐらい続き、データがエクセルで送られてくるまででも約2週間はかかりました。そのエクセルデータを元に、更に自分で集計・分析・報告書作成の作業をすると、データ抽出を依頼してから最低でも1ヶ月はかかっていました。また五月雨式に抽出依頼をしては労務の負荷もかかってしまいますので、複数のニーズをまとめてからでないと依頼をしにくく、内容によっては1ヶ月以上かかることもありました。パナリットがある今では、検証したい仮説があれば、すぐにデータで可視化できるようになりました。

杉村:ちなみに人事本部も限られた担当者以外はデータにアクセスができるわけではなかったので、人事本部内でも同様にJIRAを立てなければなりませんでした。

人事データの取得や可視化の工数が削減された以外には、何か成果はありましたか?

杉村:従来は「だいたいこのくらい?」というばっくりとした認識だけで意思決定が進んでいましたが、定量の観点が入ることにより、人事課題の優先順位を意識的に決めることができるようになりました。また取締役会や株主総会などで質問されるポイントやデータも、パナリットを操作すればすぐに出せるようになりました。例えば女性や新卒の活躍推進に関するいくつかの課題感に関しても、きちんとデータで検証すると「当初イメージしていたほどには深刻でない」ものも発見でき、結果的に課題の優先順位を良い意味で入れ替えることができました。

水本:エンジニア採用に関しても、例えば新卒・中途ごとに異なるトレンドをデータで裏付けられたことで、より意識的にアクションを導くことができました。

「人事データの民主化」によって組織・人事がどうなることを期待していますか?

杉村:これまで人事本部内ですらも分散していたデータにアクセス・可視化できるようになってようやく、「人事データをアクションに活用していく」スタートラインに立てたと思います。事業の成長に合わせて組織も機動的に進化していくためには、人事が足かせになってはいけません。数字に対する感覚は事業部の方が長けていると思いますし、人事が「人事データの見方の観点」を教えつつも、現場主導で人事データを活用できるようになって欲しいと思います。

水本:HRデータを人事だけが使うのでなく、マネジメントに関わるあらゆる人も活用できるようになるべきだと思います。それにより、組織のデザインを人事がトップダウンで行うのではなく、現場主導でボトムアップでできるようになるべきです。モンスト事業本部ではその形に近づいていますので、究極的にはHRBPも不要になると思います。

今後はモンスト事業本部以外にもHRBPを設置される意向と思いますが、HRBPに求められる要件についてどのようにお考えですか?

水本:①HRの外にある課題を発見する力、②その理由を探求し、仮説をたてる力、③それを解決したいと強く思い、事業責任者に対して忖度なく意見できる力、の3つだと思います。HRデータにすぐアクセスでき可視化できることは、これらの力を養う武器になると思います。

人事本部以外にも人事データを展開することに、懸念はありませんでしたか?

杉村:データの解放に対しては慎重論もありますので、生データを見れないようにしたり、閲覧対象となる従業員属性を絞るなど、閲覧権限を柔軟に設定しながら、事業部長や室長に対して段階的に展開していきたいと思います。

水本様、杉村様、貴重なお話をいただき有難うございました!