データに基づく客観的なインサイトを人事に活かす
以下、2019年11月21日に掲載された Canal Ventures のインタビュー記事を抜粋します
–元の記事はこちら。
データを総合的に捉えることで、最適な判断ができるようになる
ピープル・アナリティクスは現状把握(descriptive)、将来予測(predictive)、処方(prescriptive)の3つのフェーズがあります。いずれの分析フェーズにおいても部分的にデータを捉えるのではなく、さまざまなデータポイントを俯瞰的に捉えなくてはなりません。“木を見て森を見ず” な判断をすると、本質的な課題を見落とすことがあります。
ピープル・アナリティクスの成功例として、アップルの取り組みが知られています。アップルは業績が低迷していた2002年~2003年に、ボーナスや給与を(4年間で徐々に売却権が与えられる)ストックオプションで支払っていました。その後事業は成長を遂げ、人事部が2006年にストックオプションと従業員の関係性を分析したところ、2003年から当時にかけて株価が大幅に上昇し、年内にストックオプションをすべてVest(株を売却する権利が確定)する予定の社員が数百人単位でいることがわかりました。このアップル億万長者予備軍が、(当時シリコンバレーでよくあったように)一斉に株を売却して退職したらどうなるのかと危惧されました。
そこで、これらの対象社員について深く知るために人事データ、評価データ、エンゲージメントサーベイを参照しました。すると対象社員はチームの中で重要な役割があり評価も高く、また会社の文化醸成にも貢献していることがわかりました。加えて彼らは報酬や役職には満足しているものの、以前より承認プロセスが複雑化したことに不満を持っていることが明らかになりました。
その結果を元に、承認プロセスを簡潔化し書類作業を減らすことに注力した人事制度改革を全社的に行い、結果的に一斉退職は避けられ、また会社全体の満足度を底上げすることにも貢献しました。これはひとえに財務から人事にわたり、人に関わるデータ全てが一元化され、すぐにアクションできる状態になっていたからこそのサクセスストーリーです。
人財資源を最大限活用するための土台作りが必要
いま、あらゆる分野で意思決定の分散化が行われており、人事に関しても経営者や人事部のみが決定するのではなく、現場で日々の意思決定をできる環境を整えたいと考える企業が増えています。しかし、任せるだけで適切な情報やサポートを与えないと、カンや経験といった主観的な基準での判断が行われてしまうだけで、かえって現場の混乱を招くかもしれません。
現場に“正確で十分な情報” を届けることが必要と分かってはいるものの、データ基盤構築や手法確立に関しどこから手をつければいいのか分からず、なかなか整備が進まないのが実情です。しかし、問題が起こってからデータを取りにいこうとしても多くの場合後の祭りです。対症療法的にやるのではなく、インフラとして初めから整備することが重要です。
Panalytは対象企業規模の大小・業種は問いませんが、現時点ではピープル・アナリティクスに関して興味関心が高い急成長中の企業や、グローバル展開に注力している変革期の企業から導入が進んでいます。それ以外で相性がいいのは、現場と中央の距離が物理的にも心理的にも離れている企業だと考えます。例えば全国に拠点があるドラッグストアや小売チェーン、コンビニエンスストアなどは、現場で何が起こっているかを探るために本部の人事担当者が全国行脚してヒアリングすることもありますが、Panalytを導入することで全体像や組織動向の把握がかなり容易になります。加えてPanalytはデータ収集/一元化や多数の分析フォーマットに加え、細やかなアクセス権限設定が可能で、現場や経営層に適切な情報のリレーも行えるよう初めから設計されています。
Panalytはどのような企業でも今使っているシステムに接続するだけでエンプロイー・ジャーニーを俯瞰的に捉えた適切な人事判断ができる状態を作り、“人”側面から企業のビジネスを後押しする存在になりたいと考えます。