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絵は口ほどに物を言う?! – 人事データを効果的に可視化するアプローチ

絵は口ほどに物を言う?! – 人事データを効果的に可視化するアプローチ

見た目で人を判断するな、とはよく言われたものですが、ことデータ分析においては見た目は重要です。人間の脳は視覚情報をより有効活用するように出来ているため、データを可視化することは、見る人がデータを理解したり解釈する上で非常に重要な役割を担います。

可視化とは、単にグラフや表を作るだけには留まりません。強力な分析ツールと高いインタラクティブ性を兼ね備えたダッシュボードを構築することで、データの専門性が必ずしも高くない経営・現場の社員であっても、従業員データに対して深い理解と洞察を得られるようになります。

企業には、給与や評価を表した数字の羅列や、調査結果の文章テキストなど、長期間にわたる膨大なデータが蓄積されているものです。しかしこれらは通常、Excelでいくつものページにまたがっていたり、そもそも複数の部署が別々に管理していることが多く、全容を把握できる人はごくわずかです。

そんな惨状を救うのが「データの可視化」です。可視化を行うことで、山のようなデータを簡潔でインタラクティブ(※1)な形でまとめられます。データが増えるほどに煩雑になるのではなく、実用的な価値を高めることができます。

※1:ここでは、データに触れる人が自分の欲しい形に自由自在にフィルタ(対象範囲を選択)したり、任意の切り口や軸で比較・分析できる状態を指す

可視化において最も重要な問いは、

・どうすれば可視化の効果を最大化できるか?

・見た目の美しさだけでなく、いかに実用的かつ直感的なダッシュボードを構築するか?

の2つだと考えます。

私もフロントエンジニアとして、こうした問いには長らく四苦八苦していましたので、少しばかりのティップスをお話できればと思います。

1| 課題・目的・ゴールを明確にする

ダッシュボードは普通、なんらかの課題や企業のニーズを解決するために作られます。したがって、何が課題であるか、ということを明確に定義することは重要です。対象は誰か、問題点はなにか、範囲は、目的は?といったことを全て明確にしていく必要があります。

どんな問題に取り組んでいて、どのように解決するかが分かれば、課題解決への最適な経路が描けます。ここにおいては、最適なダッシュボードの種類を決めることです。

ダッシュボードには、対象者のニーズに合わせて、例えば次のような情報を載せます。

従業員数の全体像を把握したいCEO向けには、拠点や部署など、、複数のグラフや表で従業員数を示すダッシュボードがまずは適切でしょう。

しかし、離職率の増加や採用プロセスの効率化など、固有の人事課題を解決したい人事部長向けには、課題をより明確化するために関係者から情報を引き出すことが必要です。データチームと人事・現場とのコミュニケーションを通じて、データ側が気づいていなかった現場のインサイトを発掘したり(虫の目)、逆に業界水準との比較などから客観性が加わる(鳥の目)ことで、真の事業ニーズや見るべき指標が進化・明確化するでしょう。

2 | 指標を正しく設定する

指標は、単なる効果測定のために存在するのではありません。指標の「影響度」と「指標同士の関係」はとても重要です。

離職率を例にとってみましょう。

離職率のグラフを作る上で、次のような議論がよくなされるでしょう。

・退職した人の数だけでなく、割合でも見たい

・離職には季節性があるので、単月ではなく通年での推移も見たい

・離職した人の特徴も見たい。例えば新卒に多いのか、特定の部署や部長・課長のメンバーに多いのか、など

そこで、次のようなグラフを作ることにします。

①毎月の離職率の推移

②3ヶ月以内の離職率、1年以内の離職率、離職者数(いずれも月次)

③ ②を更に、部署・地域・職務等級・性別などの指標ごとに分ける

繰り返しになりますが、指標の「影響度」と「指標同士の関係性」はとても重要です。離職率のケースでは、季節性を考慮して「●ヶ月以内の離職率」を見ることや、離職者の傾向を把握する上で「従業員属性別の離職率」を見ることが重要となります。

3 | ダッシュボードをインタラクティブにし、正しい可視化のパターンを選ぶ

インタラクティブ性はとても重要です。データに触れる人が、仮にデータに普段は触れないような現場マネージャーであっても、データや自分の欲しい形に自由自在に「料理」できるようになれば、組織における問題点をより浮き彫りにしやすくなります。データの「料理」とは、例えばフィルタ(対象範囲を選択)したり、任意の切り口や軸で従業員データを分けて比較することなどを指します。

インタラクティブ性において重要な指針とは、直感的で簡潔さを保ちながら、データに触れる人に対して出来るだけ多くの選択肢を与えることです。データに触れる人がダッシュボード上の様々なグラフにアクセスできることは重要ですが、同時にダッシュボードが乱雑していては混乱を招きかねません。最大公約数として何のグラフをどこまで表示させるかは、各方面の意見を聞きながら落とし所を見つける必要があるでしょう。

4 | 実装

最後は、ダッシュボードの実装です。Web上で実装する上では様々なテンプレートやパターンが存在するものの、デザイン性、コードの安定性、柔軟性など、関係者のニーズを全て満たしたダッシュボードを実装するのは、そう簡単ではないでしょう。またツールや機能の制約により、妥協しなければならない点も出てくるかもしれません。いずれ別の記事では、こうした困りごとに私たちがどのように対処してきたかも紹介したいと思います。元記事:A picture speaks a thousand data points: Key lessons to build impactful visualisations for HR analytics. [The Drill down. – Medium]