ブログ

BACK

ビジネスブレークスルーチャンネル「組織人事ライブ」
Evidence-based HRに迫る。「データで変わる人事の未来」とは?

ビジネスブレークスルーチャンネル「組織人事ライブ」<br> Evidence-based HRに迫る。「データで変わる人事の未来」とは?

2022年6月6日放送のビジネスブレイクスルーチャンネル(BBT Ch)「組織人事ライブ」に、パナリット代表取締役CEOの小川高子が出演し、講師の高橋俊介氏(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科特任教授)とともに、「データで変わる人事の未来」をテーマに講義を行いました。本レポートは、60分間の講義のサマリー版です。

動画を視聴するボタンより、視聴URLを取得できます。

目次

慶應義塾大学大学院政策メディア研究科特任教授 高橋俊介氏(以下、高橋):

日本企業では長年、人事は人間力と勘と度胸で行うという暗黒の時代が続いてきました。

本日はパナリット株式会社 小川高子さんに、そのアンチテーゼ(反証)のようなお話もお伺いできればと思います。

Googleでの人事改革例

高橋:

小川さんはGoogle在職時に、人事プロフェッショナルとしてどんな課題に向き合ってこられましたか。

1. 面接のDX

小川:

たとえば一つには「技術職面接の DX 」というプロジェクトを手掛けました。 

Googleでは、エンジニアのテクニカルスキル面接の際、候補者にホワイトボードへ課題のコードを書いてもらい、面接を進めていました。面接後、フィードバック記録のため面接官はホワイトボードからパソコンにそのコードを手入力しなければなりません。非常に非効率だと思いました。

最初から面接用のアプリを作ってパソコンでテクニカルインタビューを行っていれば、フィードバック記録の時間が短縮でき、さらに面接官や候補者の体験も良くなるのではないかと考えました。そこで面接のデジタル化を試みたところ、一回あたりの面接で10分の時間が削減できることがわかりました。 1面接あたり10分と言っても、これがGoogle の規模ですと20ヵ国へ展開し、年間で面接官の工数を1万時間以上削減できます。会社にとって数億円のROIが得られる大成功のプロジェクトとなりました。

高橋:

ずっと人事の仕事をされながら、常に DX の頭があったのですね。

小川:

医療関係の仕事に就く父に、エビデンスベイスドな(根拠のある)意思決定をすることの大切さを小さい頃から教わってきました。 Google の人事部は、全ての従業員の経験やキャリアに関するあらゆる人事データを取っていましたので、それを活用すれば、今の現場の非効率がもっとよくなるのではないかと常に想像していました。

2. 研修の受講率を改善

小川:

 Google のアジアパシフィックの人材開発を担当していた時、日本・中国・韓国の三つのオフィスの英語力を底上げするプロジェクトをリードいたしました。

現状の英語学習プログラムは受講率が悪くて、受講するべき(語学スコアの低い)従業員の2割程度しか活用せず、しかもレッスンのドタキャン率も5割を超えていました。理由を掘り下げてみると、「必要性を感じない」「グループレッスンと自分のスケジュールが合わない」さらには「単純にやりたくない」といったことがあげられました。これらのハードルを下げつつ、やれと指示するのではなく自らやりたくなるような学習プログラムを作れないかと生まれたのが『ノンストレス English 』という研修です。社内の英語のネイティブスピーカーにボランティアで12週間のレッスンプログラムの開発・運用をしてもらうのですが、最初は20名ぐらいしか集まらなかったものが、のちに大ヒットして、最終的には140人のネイティブ英語講師が関わる大規模プログラムになりました。

レッスン内容は講師によって様々で、例えばビートルズを歌いながら英語を学ぶレッスンプランや、グルメの方なら少人数で毎週ランチを食べに行って、ランチで食べた内容やフィードバックを英語でフードブログに書くなど、クリエイティブなレッスンプランが140通り集まりました。問題だった研修受講率も8割まで改善し、さらに英語がそこそこできる人たちまでもが、面白そうなので自分もやりたいと集まり、学習を”したい”と自主的に行動できるポジティブなサイクルが社内に生まれたのが印象的でした。

高橋:

面白いですね。どうしてそのような発想が生まれたのですか。

小川:

自分自身があまり人に言われてやるのが嫌いなタイプでしたので、自分がやりたくないことをどうすればできるようになるか考えました。それともう一つ重要なのが、まずは20人の講師で小さくやってみて、参加者や講師からのフィードバックのデータを集めて、改善を重ねたからこそ、大きなプログラムに発展して成功を収められたということです。

高橋:

私も長くキャリア自立支援を行う中で、自己分析をして将来を考える研修を企業でしているのですが、強引にいやいや来させると全く成果が出ないのです。なんでそんなことやんなきゃいけないんだよと。また、来て欲しい人に限って来てくれないといったこともあり難しいと思っていました。

3. 採用のExperience(候補者体験)

小川:

Google は採用をものすごく科学していて、どうすれば優秀な社員を効率よく雇えるか、つまり採用の「質」と「効率」は常に重視してきました。それに加えて、「候補者体験」にも同様に注意を払うべきではという考えが持ち上がり、採用体験に関するフィードバックサーベイを取り始め、候補者の採用体験が悪いと具体的にどんなインパクトがあるのか。現時点では何にどの程度改善余地があるのか。これらをデータを用いて経年観測していくことにしました。

調査の結果、まず悪い候補者体験をした人の内定受諾率が低いということがわかってきたのです。これは感覚的には皆さん分かると思います。例えば、圧迫面接をされて気分を害したとすると、オファーをもらってもその会社には行きたくないと思いますよね。今は、会社も候補者から見極められる時代です。それはGoogle のような一般的にはすごく入りたい人が多そうな企業でも同様で、お殿様商売をして、悪い候補者体験を人に押し付けていたら、選ばれない会社になってしまうと。

高橋:

圧迫面接って一生忘れないですよ。オファーをもらって断るだけではなく、オファーをもらえなかった人も、「あの会社の商品は一生使わない」と思いますよね 。

小川:

数字で見るとより顕著で、良い候補者体験だった方は10人にオファーを出したらうち9人は内定を受諾してくださっていましたが、悪い場合は10人中7人でした。最初は、現場マネージャーや採用担当は、候補者体験は nice to have(必須でないがあったらいい)で、採用計画の達成がプライオリティだと言っていましたが、この数字を見せ、候補者体験を良くしていかないと、採用人数も達成できませんよと説得しました。

さらに、候補者サーベイを詳細化して、候補者体験に影響する要因を割り出し、面接官へのサポートやフィードバックも行いました。候補者体験が大事なので改善してくださいと言っても、面接官は具体的に何を改善すればいいのかわかりません。しかし、具体的に数値を示した面接官フィードバックレポートが定期的にもらえるようになると、うまくいっているところやもう少し意識しないといけないところを把握できます。

高橋:

候補者へのフィードバックサーベイからいろんな事実がわかってきて、問題解決に繋がったのですね。

小川:

お断りするときにも、ただメールを1通送っておしまいではなく、採用担当者が電話して、なぜ今回こういう結果になったのかを双方向のコミュニケーションを取る形で伝えるようにしました。それだけでも候補者体験は変わるのです。

そういったことをコツコツとやったことによって、最終的には採用された人の98%が満足、採用されなかった人も8割までがこの会社の面接を受けてよかった、また受ける機会があったら受けたいという回答をいただくまでになりました。

人事データ活用の本質

小川:

ここまでGoogleの例をもとに、人事がデータを活用すると会社に対してのリターンが多いというお話をしました。では人事データを活用するとはどういうことなのでしょうか。

人事分析の本質は、俯瞰して組織を見た時に、どこをどう変えたらより効率的・効果的な組織のマネジメントができるか、そういった仕組みを科学することであると私は思っています。私たちはこの俯瞰的な分析を、個人のスキルなどに焦点を当てた虫の目の分析に対して、鳥の目の分析と呼んでいますが、この鳥の目の分析は非常にインパクトが大きいと思っています。

高橋:

日本企業はこれまで固有名詞の人事をやるのが仕事でした。人事が社員それぞれの社員のスキルや性格を把握して、配属などを行ってきた。ですので、スキルズインベントリー(社員のスキルなどの一覧表)を作れば、データ活用ができているような気になってしまうのですよね。

小川:

鳥の目の分析は、勤怠や給与の情報、他のいろいろなデータなど、人事がすでにお持ちのものを使ってできます。

データ活用と言うと、新しくスキルやサーベイデータを集めないといけないと考える方も多いと思うのですが、人事は、実はもうデータの宝庫なんです。

高橋:

遠隔勤務が増えてDX化していく中で、取れるデータも昔に比べてとても増えているということでしょうか。

小川:

そうですね。ただデータがあるのに活用できていないという、宝の持ち腐れの状態があると思っています。

また、(Google のような先進している)他社の施策や成功事例(=アウトプット)だけを見て、それをそのまま自社で実施したら、同じようにうまくいくという考えは問題だと思います。本来は施策に至るまでのデータによる根拠の部分が、自社にも当てはまるかを理解した上でないと同じような成果は見込めません。

高橋:

心理的安全性というGoogleで出てきた流行りの言葉を、うちも取り入れようと振り回される企業がありました。ですが、 Google で大事な心理的安全性と、歴史があって終身雇用で辞める人も少ない会社の心理的安全性は、きっと意味が違いますよね。何がポイントになるのかは確実に違うにも関わらず、とってつけたように実施しても成功しないですよね。

小川:

表面的なところだけの真似するのではなく、 Google の人事で一番真似すべきなのが、データを活用して「自分の組織にとって何が正しいか」をエビデンスベイスドに理解していく。それはどの企業もやった方がいいと思います。

高橋:

Googleは何をしているんだ、じゃあそれを真似てみろ、ということではないですよね。

何が一番肝心になるかというと、会議・議論にデータを持ち込んできちんと意思決定する、そのプロセスやスタイルの変化に繋げてもらうことだと思います。

大前さんも昔からおっしゃっていましたが、ファクトベースに議論する習慣がないと宝の持ち腐れですよね。それをなんとかしてあげないといけない。エビデンスやファクトに対して謙虚であれと私は言うのですが、一旗揚げて偉くなった人は、ファクトよりも自分の思想や思い込みを重視することがある。それも大きな問題ですよね。

小川:

まさしくその通りだと思います。

反面、エビデンスベイスドで出した答えも、時代とともに変化することはあると思います。その最たるものがリモートワークです。 Google は長い間リモートワークで効果的なマネジメントを行うことは難しいという意見でした。しかし、10年後に同じリモートワークの効果のリサーチをした結果、テクノロジーの変化があり「この3つの要素を満たせばうまくいく」といった調査結果に変わったんです。ですので一回確証できたことも、永遠に問いかけていくことは大事だと思います。

データ活用ができる人事とできない人事

小川:

データ活用ができている人事と、活用できていない人事の違いをご紹介します。

まず、活用ができていない人事です。

例えば、「今期の採用予定人数が未達じゃないか」と問われた時、今の人事の多くは「内定受諾率が下がったことが原因だと思う」くらいの返答はできていると思います。しかし「具体的に、内定受諾率がどのくらい下がったのか」「中途と新卒、男女別や職種別で傾向に違いはあるのか」と聞かれると、とてもではないがデータが出せない。「では来期目標を達成するために、どうリカバリーするのか」と聞かれたら「とりあえず…内定者懇親会を開いてみます」というような曖昧な回答しかできないことがよくあると思います。

高橋:

他社は何やってるの?じゃあうちもそれやるか!ということですね。

小川:

先ほどと同じ質問をデータが活用できている人事部にすると、どんな回答が返ってくるでしょうか。例えば「新卒の採用の予定人数が7割しか達成していないがどうするのか」と聞かれた時に、「最終面接からオファーを出すまでの期間が、平均で4週間と長期化しています。これは新しい採用担当が増え、効率が落ちていたのが原因です。候補者体験も下がっています。それにより内定者受諾率が9割から、今は6割まで落ち込んでいます。中でも特にエンジニア職に関しては4割しか内定受諾をしてもらっていません。」などと回答して、オファー検討会議の頻度を増やして内定までの期間を短縮する、や、エンジニア職は最終面接時にオファーを出すといったことも検討してみましょうと解決案を提示できます。

このようにデータで他の職種や以前の状態と比較することにより、改善点を炙り出して、リカバリー案を提案できるかと思います。

高橋:

日本企業の経営会議にはエビデンスがないですよね。マッキンゼーやトヨタではなぜを3回、5回繰り返しましょうと言うけど、何でこうなったのかという話をしようとしても、結局印象しかない。エビデンスやファクトに接していない人が、私の印象ではこうだといって、みんな勝手な印象論をぶつけ合って空回りしている、それが典型的な日本の会議だと思います。エビデンスをもとにして議論を深める習慣を作るためには、データ活用が必要だと感じます。

小川:

あるお客様が、「データがない人事戦略会議というのは、戦略会議じゃなくて、妄想会議だ」とおっしゃっていました(笑)。

業務効率化から戦略的な人事へ

小川:

人事のデータ活用、ピープルアナリティクスへの興味関心がここ10年くらいで激増しています。 市場自体はまだそこまで大きくないものの、6年前は500億円ほどだったのが今3000億円の市場になり、成長率はかなり高いと見ています。

また、今年に入って日本は政府が人的資本の開示をルール化すると明言しています。

高橋:

ガバナンスから入るのは効果がありますね。

小川:

人的資本の情報を開示するとなれば、開示の前に把握をすることが先決になります。ですので把握を促すための、人事データ整備のインフラが整うことになると見ています。

ここからは俯瞰的に、人事データの活用で人事がどう変わるのか見ていきます。

元々人事は分業型で、研修は研修のプロが、採用は採用のチームが、評価は評価のチームがそれぞれ分散して行っていたと思うのですが、ここ十年ほどで爆発的に人事のそれぞれの業務効率化の支援ツールが増えてきました。

高橋:

業務の効率化がずいぶん進んできましたね。

小川:

それにより、データが取れるようになりました。このデータは、人的資本の開示にも使えますし、開示の先にあるどうやって会社をより良くするかといった議論にも活用できます。すなわち人事の価値が、業務の効率化オペレーションから、戦略的なところにシフトしてくると思っています。

高橋:

ITで人事業務の効率化が進んだおかげで、今度は意思決定の効率化が可能になったということですね。

小川:

はい。マーケティングも以前は、勘と経験で行われていました。しかし、企業と顧客の接点がデジタル化してデータが取りやすくなり、データを加工処理する技術や、専門性人材がこの領域に生まれてきました。

高橋:

データアナリストが必要になってきたと。

小川:

人事でもおそらく同じことが起きるでしょう。業務の効率化領域に関してはもうそれが起きていて、日本には人事業務効率化支援サービスが約450種類あるんです。それにより、人事の情報がデジタル化して、多くのデータがある状態になっています。

データが取れるようになったことで、マーケティングの思考を取り入れ、人事にも全く同じ要領で応用できるフレームワークがあります。

例えば、ユーザーファネルの考え方です。人事だと、採用においてどれだけのパイプラインを集めておくと最終的に採用したい人数に至るのか、どうすれば歩留まりが良くなるのかなどということです。

解約率(チャーン)の切り口もそうです。人事だと、これは離職率ということになります。離職率をただ単純に月次で見るのではなく、コホート(Cohort)分析をして入社から3ヶ月以内や1年以内の短期のスパンで会社を離れる人の数字を出すと得られる示唆があるでしょう。

また、離職を考える際に regret(慰留対象/会社として残って欲しい人材)とnon-regret(非慰留対象/やめても困らない人材)かを別にしてデータを見ることも大切です。non-regret attrition(やめても困らない人材の離職)が多ければ問題はないということではなく、その場合は採用がうまくいっていないということも考えられます。

このように各種の指標は、総合的に判断する必要があります。

高橋:

いずれにしても、マーケティングで出てきたものが人事でも使えるということですね。

小川:

これまで人事のデータ活用が進んでいなかった理由として、技術的課題と組織的課題があります。

技術的課題とは、人事データがバラバラぐちゃぐちゃで、そのままでは分析が難しいということです。マーケティングのアナリストをやっていた友人が、人事のデータアナリストに転身した時に、人事データが購買データの10倍汚く、どこから手をつけていいのか分からない、と困惑していました。

また、データが、評価、エンゲージメントサーベイ、人事給与システムなどに分散していますし、さらに海外展開している企業であれば、日本と海外で使っているシステムが異なり、従業員数や男女比率を出すことですら、年に1回 各国の支店からエクセルを取り寄せないとできないという企業もあります。そのような状態で、雇用形態別や勤続年数別の数字を出すのは非常に大変です 。まずはそこを一つにまとめてデータを整え、一元管理するような仕組みが必要です。

組織的な課題は、人事データを使いたいユーザーが、経営・現場マネジメント・人事など多岐にわたり、それぞれが見たい指標が違うこと、また、どのデータを誰が見ていいか、これを細かく権限設計しないといけないことです。

パナリットは、その技術的課題と組織的な課題をクリアできるよう作られています。今使っている様々な人事システムにつないで、常にデータが自動で更新される状態を作り、データの書式やフォーマットをきれいに修正して一つにまとめます。それを経営や人事の意思決定に使えるような、役立つ指標に生成・可視化していくのです。

高橋:

それがないと、妄想会議になってしまうと。

小川:

例えばこちらのダッシュボードは、組織内の性別のダイバーシティ指標がすぐに確認できます。タイムスライダーで時系列を変更すると、例えば過去2年の従業員の男女比率の推移や、評価の高いエンジニアの男女別の離職率などがすぐに分かります。

仮説を検証したい時に、すぐにデータを見られることが非常に重要だと思います。

また、なぜいろいろなデータを一つにまとめる必要があるのかと言うと、重要な指標はいくつかのシステムにまたがるデータを掛け合わせないと出ない事が多々あるからです。

例えば、「高評価者の離職率」を知るには、評価のデータと人事の基本情報が必要ですし、「労働時間当たり生産性」が知りたい時には、財務のデータと勤怠のデータを掛け合わせて見る必要があると思います。

現状把握→未来予測→処方

小川:

次は、データの分析の難度の話をします。これまでお話しした事例は主に現状把握の分析です。現状把握とさまざまな観点での比較や傾向が掴めるようになると、未来予測の分析ができるようになります。その知見をもとに施策を打てると、本当に戦略的な人事になってくるかと思います。

高橋:

今までの状態が続くとこうなりますよということですね。

小川:

離職分析で、その例を見てみましょう。こちらの離職率のダッシュボードでは、企業ごとに離職要因を分析した上で、離職率が高い従業員を色別に表示できます。

高橋:

辞める理由と辞めた人のデータをぶつけ合わせて、相関の高いものを出し、今いる従業員に当てはめると、辞めるリスクがどれだけ高そうかわかるということですね。

全体に向けての政策を打つというだけでなくて、退職の危険性がとくに高い人に、個人的に面談して話を聞くことも出来ますね。

小川:

マネジメントにそういった場合の対応法などの「処方」を伝授することも考えられます。

ネットワーク分析(Organization Network Analytics)

小川:

企業にすでにあるが活用されてない宝の持ち腐れ的なデータの代表が、日々のコミュニケーションデータです。今コミュニケーションツールが、電話とFAX だけという企業は少ないと思います。

メールやカレンダーのデータを効果的に使ったネットワーク分析(ONA)は、リモートワークで見えなくなってしまった組織のサポートなどに役立ちます。

弊社の場合、ネットワーク分析にメールの中身は一切とっておらず、誰がいつ誰に連絡をしたかのみのメタデータを解析します。例えばエンジニアで12ヶ月以内に採用された新入社員を見てみると、組織の中心に入ってる人もいれば、中には離れた所にいてほとんど組織に溶け込めてない人もいます。

高橋:

点と点の距離がコミュニケーションの頻度と関係しているのですね。

小川:

コミュニケーションの頻度だけではなく、双方向性、例えば A さんが B さんに連絡してB さんから A さんに返事が戻ってきているかも見ていますし、レスポンスのスピードも見ています。コミュニケーションの量が多く、双方向性も高くてレスポンススピードも早いといった時に、 A さんと B さんの中には「強いつながり」があると判断して、それを可視化しています。

リモートワーク下で入社した従業員は、コミュニケーションが希薄化してしまっているという悩みを持つ経営者が多くいらっしゃいます。ONAを活用すると、全体として悪化する中でうまくやっている従業員が誰かも分かります。そうすると、うまくいっているその新入社員やそれをサポートしているチームが他とどう違うかを確認し、そのベストプラクティスを他の従業員にも広めることで、会社全体でのオンボーディングを改善できます。

高橋:

社外とのコミュニケーションでも使えそうですね。例えばスケジュール帳が電子化されていれば、お客さんを頻繁に訪問している支店長の方が、ずっと支店に座っている支店長よりも営業成績がいいのかと言ったような違いを、印象論ではなくエビデンスをもとに可視化できそうです。

小川:

そういった仮説をたくさん持つことが大事ですね。その仮説をただの直感で終わらせるのではなく、データで正誤判断できるというのが今の時代の人事の面白さだと思います。

高橋:

管理職の会議時間を調査して、会議の多い部門は本当に成績が悪いのかどうかなど、いろんな分析ができますよね。今は取れるデータがIT化でどんどん増えていますからアイデアは尽きないですよね。

まとめ

岩崎アナウンサー(司会):

今日は小川さんに色々とお話しをいただきましたが、小川さんのまとめの一言をお願いいたします。

小川:

私からのまとめの一言はこちら。「データという根拠を持った人事は企業の競争力を高める」です。

高橋:

私からは「Evidence-based HR」。前回の日本航空の講座でもありましたが、(データが)どんな人材育成や研修プログラムにしたらいいのかを設計のベースにもすごく活かせますよね。

本編動画は、動画を視聴するボタンより視聴URLを取得できます!✨

ぜひご覧ください。