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ウェビナー開催レポート
「人的資本の開示を競争力に」

ウェビナー開催レポート <br>「人的資本の開示を競争力に」

1/25(火)、一般社団法人 HR テクノロジーコンソーシアム代表理事の香川様をお招きし、「人的資本の開示を競争力に」をテーマにウェビナーを開催致しました。今回のセミナー参加者は、人事部、社長室、経営企画室の方々と多岐に渡り、人的資本の開示は非常に幅広い部署の方が興味を持っているトピックなのだと感じました。

2021年11月に日本経済新聞に掲載された、パナリットCOOトランの記事「人的資本の開示を競争力に」記事全文はこちら👈

目次

ゲストスピーカー紹介

一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム 代表理事

香川 憲昭 様

KDDIで新規事業開発部門を経て、ドリームインキュベータに参加し、経営コンサルティング及びベンチャー投資業務に従事。2007年にJINS執行役員として経営企画室長、店舗運営責任者、総務人事責任者を歴任し、東証一部昇格に貢献。2014年にGunosyに人事責任者として入社し、東証マザーズ上場を果たす。

2017年より株式会社ペイロール取締役に就任し、営業・マーケティング部門統括及びHRテクノロジー分野の新規事業開発を陣頭指揮。 
2020年9月より一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム代表理事に就任し、現任。
ISO 30414リードコンサルタントとして、HCproと共に人的資本のマネジメント(HCM)を支援中。

今年は人的資本元年になる(トラン)

先週岸田首相が施政方針演説の中で、付加価値の源泉は人にあるとし、今年は人への投資を抜本的に強化して、人的資本や非財務情報の開示ルールを明確に定めていくと明言されました。ですのできっと、今年は人的資本開示というテーマがますます盛り上がる一年になると思います。すでに昨年から、岸田首相をはじめ様々な市場からの人的資本の開示要請は始まっています。今年も要請は増えるでしょう。これを、開示しろと言われたから開示するというような受動的なスタンスで捉えるよりも、前向きに捉え、競争力向上につなげようというのが本日のテーマです。

人的資本開示プロジェクトは人事部の仕事?

そもそも人的資本の評価・計測は、過小評価されがちですが、運用体制を整えないと形骸化したり、正確な開示に取り組めないなど難しい側面があります。人的資本開示において一番重要なことは、経営戦略ですとかパーパスビジョンに組み込んで、いかに連動させていくかということです。”人的資本”だから人事部の1プロジェクトとして扱うといったものではなくて、経営と人事の現場、あらゆるマネジメント一丸となって取り組んでいくべきものだと考えています。

AppleとSONYの時価総額の差を作ったもの

人的資本開示、海外での象徴的な事例を紹介させてください。これは Apple 社とソニー社の株主資本(株式を発行して出資を受けた金額と、その出資をもとに事業で得た金額)、財務諸表に現れている数字です。株主資本は、アップルとソニーはほとんど同じです。しかし企業価値を表す時価総額を見ますと、何十倍という開きが現れています。この差は非財務資本、つまり世の中から この企業に対して感じている将来性、ないし今の財務諸表には現れていないけれどもこれはきっと会社の価値として転換されるはずであるといった期待値です。ではこの時価総額の差を生み出すものは何か。IIRC という評議会が定義している、経営要素において重要なヒト・モノ・カネについての六つの資本にそって説明します。

ヒトを表すのが人的資本、モノを表すのが知的資本・社会関係性資本・製造資本・自然資本です。カネが、財務諸表に載っている財務資本ですね。ご覧頂くと、モノを表す知的資本や社会資本を生み出している主体が、人なんですね。岸田首相が 人が付加価値の源泉であると言ってたと思いますが、同じような考えがあるんじゃないかなと思います。人が生み出した客体のうち、市場取引で価値として認識されたものだけが今は財務資本にとして転換されていますが、手前の部分をどう価値として認識し開示していくかが、今後企業にとって求められる競争力の源泉になりますし、根本の人的資本をどう見ていくかが、まさに今後求められる部分になるかと思います。

人的資本の開示をどのように競争力に繋げるか(香川様)

人的資本の開示について一年半ほど、国内外の情報を収集してきました。本日は、①開示が非常にインパクトが大きいという話、②日本も国を挙げて、人的資本経営を推進していかなければならないという話、をお話ししたいと思っております。

①人的資本開示の衝撃 

無形資産に対する金融市場の認識の変化

人的資本の開示について、国内外の動きをおさらいします。国内外の動きを見ると、人的資本の開示は単なる1-2年のブームではなく、メガトレンドだと考えております。

まず、無形資産に対する金融市場の認識の変化についてお話しします。アメリカのオーシャントモというリサーチ会社のS &P500を対象にした分析を見ると、年々、企業価値に占める無形資産の割合が増えています。無形資産が企業価値の源泉になってきているということです。

この分析結果は、世界の投資家の常識になっています。また、国連が定めたSDGsというゴールを達成するため、20年前に PRI(責任投資原則)で投資家の約束事を定めました。昨今では耳にしない日はないESG投資。この ESG投資が世界の投資家の常識になり、日本市場そのものを覆い尽くしていく勢いです。

その結果として、先ほどのトランさんの例にあったようなソニーと Apple の時価総額の違いにも大きく反映していると思います。ストレートに言うと、無形資産を大切に育みそれを価値向上につなげているという企業はどこかを、投資家が血眼になって探しています。

人事領域へのクラウドテクノロジーの流入

クラウドテクノロジーは、元々は金融やマーケティングの世界で立ち上がってきたわけですが、そういった分野で非常に実績を上げ、いよいよ2010年代から本格的に人事の領域に流れ込んできました。業務プロセスがクラウドサービスの上で標準化されていくというメリットがあり、業務が標準化されて効率化が進みました。オペレーショナルの業務はすべて断捨離して、結果的に戦略的な人事、言い換えると企業価値の向上に直結するような人事の業務にフォーカスしていけるというメリットが生まれていきます。

働き方のトレンドの変化

テレワークが当たり前になり、働き手の価値観も大きくシフトして、企業と働き手の関係性を再定義しないといけなくなりました。優秀な人材を保持して、しっかり企業価値の向上に結び付けられる組織を作る上では、この働き手の変化を押さえていかないといけません。プロ人材のマッチングサービス登録者の人数も基本的に右肩上がりで、兼業副業を解禁する大手の企業様も5割を超えたとの新聞報道もあります。優秀な人材が本業での経験を活かして他の働き先で自分の価値を顕在化させると、そういうことが現実に今すごく大きな波として起こり始めています。人事の皆さんも、正社員の採用だけをやっておけばよかった時代から、プロフェッショナルな優秀な人材をいかに兼業副業という形の中で活用していくかが、本格化する時代が来ていると思います。

人的資本トレンド 欧米との比較

人的資本の開示については、日本は欧米に比べると、かなり劣後した状況です。

まず EU の動きを見てみましょう。 ISO の本拠地がジュネーブということもあり、EUは人的資本の開示に関して言うと、感度が高く動きも速い。ESG投資家が重視する人的資本の情報も含む非財務情報、この非財務情報の開示に関して欧州では、法律上の義務として2017年度の会計年度から、一定の規模以上の大手の企業に人的資本を含む非財務情報の開示義務が課されました。5年ほど前にもうすでに義務化されているのですね。

アメリカは少し追う形にはなりましたが、一昨年、アメリカの証券取引委員会(SEC)が、なんと30年ぶりに人的資本の開示ルールを変更しました。人的資本の開示がいよいよ日本にも来ることを感じさせるニュースでした。日本では東京証券取引所に上場する企業は有価証券報告書つまり財務情報を開示する義務がありますが、アメリカの規制も以前は似たようなもので、人的資本の開示に関しては、従業員の数とできれば契約形態別の内訳ぐらいは出しといてくれたらいいよというものだったわけです。それが一気に詳細化して ESG投資家からの期待に応える上でも、SECが企業経営者に対してより詳細な人的資本情報の開示を要請したのです。こうしてヨーロッパの動きをにらみながらアメリカも動いたのが2020年の8月の話です。

この流れを受け日本でも、経済産業省が企業における人的資本開示を強化しないといけないと、一橋大学の会計学のご専門の伊藤先生と共に発表しました。大きな節目となる動きのひとつとして、2021年にコーポレートガバナンスコードが改定され、人的資本の開示情報についてしっかり盛り込まれました。これは義務というよりは遵守してほしい、もししないのなら理由を説明してくれ、ということで、コンプライ・オア・エクスプレインと表現されますが、実際にはほとんどの企業が、この新しいコーポレートガバナンスコードの改定の中で、人的資本の開示を進めてきました。

人的資本開示ルールの策定

トランさんの中でもお話がありましたが、岸田首相が人的資本の開示ルールを今年中に策定しますとはっきり明言されました。開示ルールは、様々な国際団体がいろんなことを申しており、これでは企業の経営者実務家に対してあまりに酷だということで、統一化される方向に動いてきております。国際会計基準を統一したIFAS財団が人的資本の開示に関する基準に関しても、1ー2年の時間をかけながら統一していくだろうと、日経新聞でも報道されています。

②人的資本経営と人的資本開示の関係性

経営陣は人的資本をどう捉えるべきか

経営視点から見た時に、これまでの経営者は、ヒトについては単年度のPLで人件費と見なすことが一般的でしたが、人的資本という考え方では、PLというよりはバランスシートの上でいかに資産にするかが重要なので、経営者自らが考え方を変えていく必要があります。投資対効果を見る際にはROIを使いながら評価をすると思いますが、人的資本に関してもそういう捉え方で、3ー4年ぐらいの時間をかけながら、投資対効果をしっかり見ていこうという考え方です。

人的資本経営を行うためのはじめの一歩

人的資本経営が従来の経営と何が違うのかというと、人事の意思決定においてデータとテクノロジーを活用して極力科学的に客観的な数値に基づいて意思決定を行いマネージメントすることが、人的資本経営だと思います。ISOが世界で初めて人的資本開示の統一基準として出したものがISO30414です。このISO のガイドラインの序文で、標準化されたデータの活用はメリットがあるとはっきりと言われていることからも、この人的資本のデータ活用が前提になってくると思います。

未来は明るいと考えておりまして、まずはエクセルベースでもいいのでクイックウィンを目指してスモールスタートして、極力数字に基づいて人的資本の意思決定を行うと、そうすればその先に、非常にさまざまな有用なことが待っておると考えます。

ディスカッション

人的資本の指標を選ぶ際に重要なこと

トラン:
ディスカッションに入る前に、人的資本のデータに基づいた経営に関して、二つだけ簡単に観点を投げかけたいと思います。

一つは、繰り返しにはなりますが、人的資本のデータ指標を取捨選択するときに大切なことは、経営戦略やパーパスと紐付けることだということです。即ち、100社いれば画一的に100社同じ指標を使えということではなくて、開示しろと要請されたものを重視しつつも、自社のコーポレートアイデンティティをちゃんと PR するための指標を、自社の戦略に基づいて取捨選択するというスタンスが重要ではないでしょうか。

二つ目は、測定できないものは評価できないので、きちんと測定評価できるような指標を選ぶこと、いつでも確認できるような体制を整えておくことです。これは意外と看過されがちですが改めて強調いたします。

選択した指標から、この指標をウォッチしているのは、この企業のこういう部分に注力しているからですというストーリー性が現れてくるのではないかと思います。また、事業と組織のライフサイクルに応じて指標自体を入れ替えても良いですね。マーケティングでもセグメンテーションという考え方がありますが、人的資本に関しても同じことが言えると思います。

トピック1:成功している象徴的な先行事例があれば教えて下さい。

香川様:
日立製作所さんの人的資本に関わる開示内容っていうのは非常に素晴らしい内容ですね。経営戦略的に、危機的な状況から脱し、新しい収益源に繋げていくためには、リーダーシップこそが非常に重要だということで、リーダーシップ関連の数値目標を掲げながら、しっかり何年も時間をかけながら体制の強化しておられます。

 トラン:
リーダーシップの育成というのは、具体的な指標で言うとどういう風にして評価されているんですか。

香川様:
具体的に申し上げると、日立さんの場合 Global の売上比率を高めていくということが経営戦略上明示されましたので、それを担う人材も当然ながらグローバル対応力の高い優れた人材である必要があるということでした。まず、グローバルタレントが何人、どこにいるんだということから初めて、足りない部分があればそれを育成、もしくは外から取ってくることを数字で目標を定めて、検証しながら数を揃えていくと。

トラン:
日立製作所もこのグローバルリーダー育成という経営戦略・組織戦略というゴールに対して、その手前にこういう投資をしてこういう活動に取り組むんですよというようなストーリーは明示化されていたのですか?

香川様:
1ページにストーリー的にまとまってると言うよりは、全体像を俯瞰してみるとおそらく多分こういうアウトプットに対しておそらく多分こういうこと考えてきたんだなっていうことが読み取れるというレベルですかね。ボリューミーなレポートですので、読み解いていかないといけませんね。

トラン:
ここに着手されてること自体すごく素晴らしいなと思う一方、指標のストーリー性っていうのがIRレポートのA4一枚にまとまっていた方が投資家側からするとより判断しやすいかもしれませんね。

小川:
私からも先行的な事例を一つお話しします。Google のダイバーシティーレポートが2014年に開示されましたけども、中の人としてはこれが非常に衝撃的でした(注:小川氏は当時Google本社人事戦略室に在籍)。というのもこの2014年に出された Google のダイバーシティレポートは、決していいものじゃなかったんですね。7割は男性ですし、白人の 割合 が65%以上と非常に偏っている。状態が良くない数字を出したインパクトが社内的にも社外的にもありました。これが会社がダイバーシティが大事だと思っているというメッセージになり、社員もダイバーシティをどう採用やマネジメントや評価制度に活かすか、考え出すきっかけになりました。

私のチームは採用のプロセス変革に取り組んでいましたが、面接の赤本を出すことにしました。なぜかと言うと、マイノリティグループの面接の歩留まり率が非常に悪かった。これは単に優秀じゃないからという風にみるのはおかしいのではないかと色々と調べていった結果、例えばアイビーリーグ出身の人は先輩にも何人もその従業員がいる。なのでそこから情報が入るんですが、そうじゃない人たちは全く何の情報もない状態で面接に挑みます。すべての候補者がフェアに見られるように Google が面接で見ている指標、例えばこんな問題を出しますよ、そこで見ているポイントはこういうことですよ、というのを細かく開示するんです。そういうレベルのことが草の根運動的にいくつも出てきたというのが社内では大きなインパクトだと思いました。

そして対外的にはダイバーシティ&インクルージョンというのが大事じゃないのかとプッシュすることにつながり、これをきっかけに今では多くの企業がダイバーシティレポートを開示する、その流れを作っていったのではないかと思っています。

そして数字が悪かったとしても、開示したことによって逃げられなくなったので徐々に良くなってるんですよ。そこがやはり重要なポイントだったのかなと。

香川様:
何をもって開示の成功とするかは、人によって違うと思うんですが、いいところだけを見せることが必ずしも正解じゃないということが、今の小川さんの話の中でも感じられました。

また説明の方法も重要だと思いますね。ドイツ銀行さんのHRレポートは世界の模範として示されているのですが、彼らはリストラを積極的に捉えて書いているんです。いかにこの苦境から脱していくかということを、リストラクチャリングっていう表現の中で非常にポジティブに表現されてる。ともすればリストラクチャリングというのは非常にネガティブに捉えられがちだと思うんですよ。これはどうやって説明するかも非常に重要なのかなと思います。

トピック2:企業の競争力を高めることに直結する、特に重要な指標はありますか。

香川様:
HRのクラウド上で残っているデータだけでメトリクスを組んでも、おそらく限界があると思います。やはり財務データと人事データを組み合わせた指標が非常に重要だと感じております。例えば、生産性や収益性のような指標ですね。ここがおそらく投資家からも大きく期待され、企業の競争力強化に直結する指標になってくると考えております。

トラン:
香川さんから財務データと人事データを紐付けて比べれば、有用という話がありましたが、私も以前いた会社で、企画に近いところで生産性や一人当たりの粗利を部署別・従業員の属性別にみることをエクセルでやっていたのですが、特に人事データは間違いや表記の不統一が多く、四半期ごとに何十時間とかかかり、毎四半期やりたくないと思っていました(笑)

正しいデータをすぐに見える状態にすることは、多くの企業が苦慮されているのではないかと思います。それを解決するツールの一つがパナリットかと思うのですが、もしパナリットを使わないでやろうとすると、どれぐらいの工数がかかるか小川さんご存知でしょうか。

小川:
いくつかの企業でお話を聞いていると、プロジェクトが長期化しがちで、ある企業では10人月で半年でやろうと思っていたものが結局2年くらいかかってしまったと聞きました。インフラから作ろうと思うと、決して簡単に取り組めるものではないのかなと思いますね。

視聴者からの質問コーナー(解答:小川)

【質問①】人的資本の開示を有効活用するために我々日本企業の人事部が今から取り掛かれることはありますか。スタートダッシュするためのアドバイスがあれば伺いたいです。

【解答】
実際にこの人的資本の適切な評価、そして戦略的な開示をしようとした時に陥る罠はたくさんあります。その課題を乗り越えるために一番やりやすい方法が Start Small Quick Winだと思います。会社の課題に対して、データもツールもあり物で始める。そして小さく成功してそこから徐々に発展させていくというやり方です。その切り口も色々あると思いますが、特定の人やデータセットから始めたり、対象や対象期間を絞ったりとするのも良いかと思います。

それをパナリットではどうやっているか、と言いますと、お客様からデータを頂き、それを2週間ほどでこういったアウトプットにします。様々な指標を、月次や四半期ごとに表示したり、例えば組織の成長を表すものであれば入社退職者数や従業員数の推移、組織のアジリティであれば年齢の中央値や、社内異動の割合など、自分の見たいもの・時期に絞ってデータを見て判断をしていくことが可能です。こういったものをすぐに用意ができるので、一つスタートダッシュを踏むためのアプローチとして検討いただければと思っています。色々な指標をすぐにとって、すぐに意思決定に活用できるというのが特徴です。

【質問②】メンバーシップ型(日本型)雇用における人材資本価値の向上は相当難しいと感じました。メンバーシップ型でどうやれば価値が向上するのでしょうか?

【回答】
メンバーシップ型は確かにジョブが定義されていないが故にスキルマッピングおよびスキルの量的側面を把握しづらく、タレントマネジメントに向かないという側面はあると思います。
しかし、いわゆるジョブ型雇用ができていないと人材資本価値の向上ができないかと言うと、それを決めつけるには時期尚早とも感じます。

そもそもジョブ型雇用があたりまえの外資でも、明確にジョブが定義されていてその範疇を超える仕事がまったく割り当てられないかというと、そうでもないように感じます。
そうしますと、外資系の(今までやったことのない領域の)新規事業に取り組めるのは100%社外の人間ということになりますが、実際そうでもありません。
T型人やπ型人材(ジェネラリストの広い視野と経験を持ちつつ、特定の専門分野を持つ人材)の重要性がVUCA時代に入って注目されるようになったのも、
T型人やπ型人材(ジェネラリストの広い視野と経験を持ちつつ、特定の専門分野を持つ人材)の重要性がVUCA時代に入って注目されるようになったのも、
背景は「すでに経験のある分野から見出した“法則”を未経験の分野に応用する思考」が求められるようになったからだと思います。

そう考えると、単なるいち領域の専門人財だけでなく、メンバーシップ型のジェネラリストの力も企業価値の持続的な向上には必要だと捉えられます。
未来の雇用においては、今ほどメンバーシップ型 vs ジョブ型の優位差の議論ではなく、融合された考えになるかもしれません。

【質問③】Googleやドイツ銀行の例や、開示する指標は経営の考え方や各社各様というお話しが出ましたが、パナリットのツールでは独自にKPIを考えるという事ですか?
テンプレートのような準備されている指標はないのでしょうか

【回答】
戦略的に開示する指標は経営の考え方や各社各様ですが、これは共通の物差しが存在しないと言う訳ではありません。
女性の管理職比率や職種別の離職率、給与水準やスパンオブコントロール、産休育休取得率など、どのような会社でもモニターが必須な指標ももちろんございます。

このような「共通指標」をパナリットはテンプレートで大小さまざま60種類ほど、あらゆる属性の軸で切り分けると数百通りもの指標を準備しています。

ただし、適正な評価/把握と「開示」は別だと考えており、なにを選択してどのようなストーリーで開示していくかについては、各社各様で良い(あるべき)と認識しております。

ご参加頂いた皆様、香川様、本日はありがとうございました!

🎥このウェビナーのフル動画はYouTubeチャンネルにて公開中です。

👉今後のセミナーは panalyt.jp/seminars で要チェック!